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Pre- KEIO TECHNO-MALL 2021 セミナーシリーズ(第6回)

IoT、AI、5Gなどの次世代産業を支える半導体
~LSI設計分野における研究教育~

IoT/AI/5Gなど現在注目を集めている技術の普及において、半導体が果たす役割は極めて大きい。世界的な半導体不足による自動車産業の生産損失額が2021年に21兆円にのぼるなど、各産業への影響が毎日のようにニュースになっており、半導体の重要性が認識されている。経済安全保障の観点から、各国政府は自国の半導体産業強化のために莫大な投資を表明している。日本でも、半導体産業において、装置、素材メーカーは世界的なシェアが高いが、設計、製造分野での存在感が薄れており、その危機感からここにきて政府も積極的な支援を打ち出してきた。
慶應義塾大学理工学部はこれまでに半導体大規模集積回路(LSI)設計分野の研究教育に力を入れてきた。特に日本の強みである、センシング、組み込み機器、エッジコンピューティングなどの分野で重要な、超低電力動作、小型、リアルタイム処理などの技術で多くの研究成果を発信し人材を輩出してきた。
本シンポジウムでは、LSI設計分野の動向や当分野における研究教育の取り組みを紹介するとともに、今後、当分野の競争力を上げるためにアカデミアに期待される役割や産学連携の在り方について議論を行う。

プログラム(EventInシステム)
2021年11月29日(月)15:00-17:30

<司会進行>

慶應義塾大学理工学部 電気情報工学科 教授 石黒 仁揮

 

1Pre- KEIO TECHNO-MALL 2021 セミナーシリーズ開催挨拶

KLLリエゾン推進委員会委員長 津田 裕之

 

2テクニカルセッション

2-1. 「最先端半導体技術動向とそのインパクト」

応用物理学会 システムデバイスロードマップ委員会 委員長/
慶應義塾大学 理工学部 訪問教授 林 喜宏*
*産業総合研究所 TIA推進センター 戦略連携ユニット

概要:「2025年。極めて小さな、しかし、大インパクトの技術的事件が起こる」との予告あり。2次元平面構造のシリコン半導体素子が、シリコン基板表面より遊離した、3次元ナノ構造体へとパラダイムシフトする、というのだ。超低消費電力のAI演算や超高速通信の飛躍的・持続的発展が期待される一方、原子レベルの製造プロセス制御といった新たな物理化学的ブレークスルーも求められている。本講では、日米欧有志で共同作成した半導体を中心とした技術ロードマップについて概説する。

2-2. 「最先端FinFET、Beyond FinFET世代におけるDesign Technology Platformの取り組み」

TSMCデザインテクノロジージャパン株式会社 センター長 安井 卓也

2-3. 「d.labの半導体戦略」

東京大学システムデザイン研究センター(d.lab)センター長 黒田 忠広

概要:3D集積された専用チップがグリーン成長戦略の要になる。d.labではエネルギー効率10倍かつ開発効率10倍を達成するチョークポイント技術を磨く。チップユーザーがソフトウェアを書くように専用チップを設計できるアジャイル設計プラットフォームが半導体の需要喚起に必要である。半導体の民主化を目指して、大学の役割は大きくなるであろう。

2-4. 「RISC-Vを内蔵した新しいFPGA:SLMLET」

慶應義塾大学理工学部 情報工学科 教授 天野 英晴

概要:SLMLETは、オリジナルの細粒度再構成ロジックSLM、RISC-V、Hypernetのインタフェースを内蔵し、HyperRAMを接続可能で、SLMLET同士を簡単に接続してスケールアップすることができる。構成情報を複数セット圧縮して内部に持ち、高速に設定することができ、内部情報ごと他のチップにマイグレーションすることも可能である。IoTにおける暗号、復号、匿名化、MQTTブローカのオフロードを実現する。

2-5. 「分散リアルタイム処理用Responsive Multithreaded Processor (RMTP) SoC/SiP」

慶應義塾大学理工学部 情報工学科 教授 山﨑 信行

概要:RMTPはロボットや宇宙機等を分散リアルタイムシステムとして実現するために、リアルタイム処理用CPU(RMTPU)、リアルタイムネットワーク機能(Responsive Link)、内蔵メモリ、DRAM IF、コンピュータ用周辺機能、制御用周辺機能、メモリやネットワークのエラー訂正機能等の必要な機能の全てを1チップに集積したSoCである。いかなる環境でも動作可能な組込み分散制御用SoC/SiPを実現する。

2-6. 「未来のがん治療を目指した超音波駆動用集積回路」

慶應義塾大学理工学部 電気情報工学科 教授 中野 誠彦

概要:集束超音波治療法は、非侵襲でがん細胞を破壊する治療法である。現在国内死亡率第一位であるがんの治療は皆が期待するものである。特に、メスを用いることなく超音波治療は近未来の治療法として期待されている。現在実用化されている治療器の超音波発信素子数は250個程度と、正確な患部位置に向けた集束を行うには解像度の点において不十分である。合成開口法と集積回路技術を組み合わせた高解像アレイ型超音波送受信機試作に向けた取り組みを紹介する。

2-7. 「IoT時代のセンサインタフェース用超低電力アナログ回路とシステム」

慶應義塾大学理工学部 電気情報工学科 教授 石黒 仁揮

概要:IoTの普及とともに無線センサ端末の小型化、低電力化の重要性が増している。環境発電デバイスなどによる電力供給を想定した場合、センサ、回路、無線インタフェース、いずれも極限の低電力動作が求められる。センサインタフェース用のアナログ、ミックストシグナル回路の低電力化に関して、これまでに、開発してきた技術を紹介する。

 

3総合討論

各講演者のLSI設計分野における研究教育の取り組みについて、参加者の方からの質問も交えつつ、総合討論を行います。

 

4インタラクティブセッション

登壇者に対する個別質問、議論、関係研究室によるポスター・資料展示等のインタラクティブなイベントです。自由に各登壇者のテーブル(個別のミーティングスペース)に参加できます。

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