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Pre- KEIO TECHNO-MALL 2021 セミナーシリーズ(第4回)

SDGsに貢献する有機素材の開発

持続可能な社会の構築を掲げたSDGsを達成する上で、様々な機能をもつ素材の提供を通じて、モノづくりを実践的に行う化学の力は重要です。今回は、有機化学に焦点を当て、モノづくりの基礎となる有機反応の開発から、材料の設計と合成、さらにはケミカルバイオロジー、バイオテクノロジーの基礎技術まで、慶應初の取り組みについて、若い世代の理工学部教員が研究内容のみならず、その課題や展望を紹介し、社会実装の可能性についてディスカッションを行います。

プログラム(EventInシステム)
2021年11月6日(土) 15:00-17:30

<司会進行>

慶應義塾大学理工学部 応用化学科 専任講師 伴野 太祐

 

1Pre- KEIO TECHNO-MALL 2021 セミナーシリーズ開催挨拶(5分):15:00

KLLリエゾン推進委員会委員長 津田 裕之

 

2テクニカルセッション:15:05-16:05 

2-1. 「最小限のエネルギーで進行する赤色光駆動反応」

慶應義塾大学理工学部 応用化学科 専任講師 小椋 章弘

概要:原子間の結合の切断を伴う化学反応は、ナフサのクラッキングや、軽油からガソリンへの接触分解をはじめとして、高温条件などの形で大きなエネルギーを外部から加えなければならない場合が多いのが現状です。そこで近年では、LEDによる可視光照射を駆動力として進行する反応の開発が盛んに研究されてきています。私達はその中でも、安価に入手可能で、エネルギー変換効率に優れた赤色LEDを用い、温和な光照射によって結合切断反応を実現する研究を行っています。

2-2. 「小分子を用いた刺激応答型発光分子の開発」

慶應義塾大学理工学部 応用化学科 専任講師 三浦 洋平

概要:外部の環境によって発光色が変化する刺激応答型発光分子は新しい発光材料やセンサー材料、プローブなどさまざまな応用が期待されています。イミダゾールは五員環の中性で最小の芳香族化合物であるために、蛍光分子の母骨格としての利用は限られています。しかしながら、水素結合性や配位結合性、カチオン/アニオン種の生成など複数の機能を備え、刺激応答型分子として有用であると考えました。イミダゾールを使用して、酸蒸気応答型分子、機械刺激応答分子などの開発を行っています。

2-3. 「有用糖質を効率的に合成する新手法の開発と応用」

慶應義塾大学理工学部 応用化学科 准教授 高橋 大介

概要:天然生物活性分子、医薬品、機能性食品、および化粧品素材の中には、糖質が数多く存在しており、新たな高機能性・高活性糖質の開発が求められています。そこで私たちは、糖と糖、または糖と非糖部分を効率的に連結する新手法の開発と有用糖質の創製を目指した応用研究に取り組んでいます。本講演では、①天然生物活性分子に対して、環境低負荷かつ効率的に糖を付与する新手法の開発、②酵母由来バイオサーファクタントの精密合成と抗菌活性、および③天然硫酸化多糖フコイダン類縁体の系統的合成と抗ウイルス活性を中心に紹介します。

2-4. 「外場を必要としない微小空間センシング技術の開発」

慶應義塾大学理工学部 応用化学科 専任講師 伴野 太祐

概要:ナノテクノロジーの目覚ましい発展のなかで、操作性や利便性、観測のしやすさなどから、マイクロメートルスケールのゲルやベシクルといった、やわらかい物質群に注目が集まっています。私達は、分子と分子の間にはたらく相互作用に着目し、両親媒性分子をデザインすることで、特定のpHや温度に応答して速やかに崩壊したり、変形したりするベシクルの開発に成功しました。このような構造体は、微小な環境がどのような場であるかを知るための高感度センサーとして有用であり、また、電場や磁場を必要としないことから、省エネルギーなセンシング技術として期待されます。

2-5. 「脱プラスチックを可能にする化学・バイオリアクターの開発」

慶應義塾大学理工学部 生命情報学科 准教授 松原 輝彦

概要:生命科学研究で用いる反応容器は近年、ほぼ使い捨てプラスチックに置き換わっており、研究者1人あたり年間数十キロのプラスチックゴミを排出するといわれています。また生物や生体物質は繊細であり、プラスチック表面に接触したり、わずかな物理的負荷によって変質や失活(活性が失われる)することがあります。そこで発想を変え、反応溶液を気相中に浮揚させて化学およびバイオ関連反応を行うことで、容器を用いない反応環境を整備する研究を行なっています。高分子重合や酵素反応など、試験管内と遜色なくできるようになれば、SDGsに貢献できることが期待されます。

2-6. 「人工タンパク質はどう使えるか?技術革新を目指した次世代の素材開発へ」

慶應義塾大学理工学部 生命情報学科 専任講師 川上 了史

概要:タンパク質は生体を構成する高分子で、これまでは主に生命活動の仕組みの解明の対象として、あるいは医薬品開発の対象として研究が進められてきました。一方、近年では、タンパク質を人工的に設計できるようになってきており、それに伴って用途も拡大することが期待されています。我々も、近年、人工タンパク質ナノ粒子TIP60の開発に成功しました。そこで、ユニークな構造を持つTIP60だからできること、に着目しつつ新しい機能性物質・素材の開発を行っています。タンパク質の生分解の容易さを利用した素材開発はSDGsの目標に整合することから、その達成後に人工タンパク質が当たり前に利用される社会になることを目指しています。

 

3総合討論:16:05-16:45

各講演者のSDGsに貢献する取り組みについて、参加者の方からの質問も交えつつ、総合討論を行います。 なお、総合討論には企業の方にも参加いただきます。

三菱ケミカル株式会社 サーキュラーエコノミー推進本部 マネージャー
東京大学 未来ビジョン研究センター グローバル・コモンズ・センター 特任研究員
大谷 鷹士 氏

日本ロレアル株式会社 応用研究所シニアプロジェクトリーダー 織田 政紀 氏

 

4インタラクティブセッション:16:45-17:30

登壇者に対する個別質問、議論、関係研究室によるポスター・資料展示等のインタラクティブなイベントです。 自由に各登壇者のテーブル(個別のミーティングスペース)に参加できます。

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