2022.4.1
サンスクリーン剤のin vitro性能評価における国際標準化法の確立を目指す産学連携研究
研究概要
研究テーマ |
サンスクリーン剤のin vitro性能評価における国際標準化法の確立を目指す産学連携研究 |
研究メンバー |
朝倉浩一(慶應義塾大学 理工学部 応用化学科)
矢作彰一(日光ケミカルズ株式会社)
藤代美有紀(日光ケミカルズ株式会社)
黒田章裕(黒田総合技研株式会社)
前澤大介(癸巳化成株式会社) |
研究期間 |
2010年〜現在 |
サンスクリーン剤の紫外線遮蔽能を示すSPFやUVA-PFなどの数値は、現在はin vivo法と呼ばれる方法で測定されています。具体的には、ヒトの背中にサンスクリーン剤を塗布して、そこに紫外線を照射し、紅斑の発生や黒化が起こるまでの時間をどのくらい伸ばすかを測定します。ところが、このin vivo法は高コストで試験に要する時間も長く、またヒトの背中に紫外線を照射することの問題も考えられます。そこで、規定量のサンスクリーン剤を基板上に塗布し、その塗布層の紫外線遮蔽能を測定することで性能を評価するin vitro法の開発が望まれています。しかし、正確性と再現性に優れ国際標準規格となったin vitro法は、未だ開発されていません。当共同研究グループは、in vitro法の正確性と再現性に問題が生じる要因を非平衡系の物理化学に基づいた研究で検証し、解決する方法を開発して参りました。この新規in vitro法では、これまでは測定が困難であった、使用感の良さから現在は世界の主流となっている水ベースのサンスクリーン剤の性能評価が可能です。そして、2021年、日光ケミカルズ株式会社がこの新規in vitro法によるサンスクリーン剤の性能評価の受託測定を開始しました。
プレスリリース
週刊エコノミスト(毎日新聞出版)2019年10月22日号「慶應大学らと共同で、新たなUV防御効果測定技術を開発」
化学工業日報 2021年8月27日号「サンスクリーン剤評価法、臨床試験同等の予測値、日光ケミカルズ、9月受託開始」
関連特許
朝倉浩一、黒田章裕、WO2018/047707A1 (各国移行:日本、米国、欧州)「紫外線吸収剤又は赤外線遮断剤含有水性組成物の紫外線防御効果又は赤外線防御効果の測定方法及び測定装置」
朝倉浩一、黒田章裕、特許第5825654号「化粧料の紫外線防御効果の測定方法、測定装置、及び測定値の表示方法」
論文発表
K. Ikawa, A. Aizawa, T. Banno, M. Fujishiro, S. Yahagi, A. Kuroda, K. Asakura, J. Oleo Sci. 71(2), 321-331 (2022).
写真1:リニアモーターコーターを用いたアプリケーターによる塗布(1)
写真2:リニアモーターコーターを用いたアプリケーターによる塗布(2)
写真3:リニアモーターコーターを用いたアプリケーターによる塗布(3)
写真4:回転擦り込み塗布(1)
写真5:回転擦り込み塗布(2)
写真6:SPFアナライザーによる紫外線遮蔽能測定(1)
写真7:SPFアナライザーによる紫外線遮蔽能測定(2)
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