人口の減少と高齢化により単純な経済成長が見込めない超成熟社会を迎える日本が、真の科学技術創造立国、価値創造型立国を目指さなければいけないことは明確であり、そのためには、科学技術投資や高度人材育成(高等教育のレベルアップ)が求められます。
しかし、慶應義塾大学理工学部の産官学連携研究費を例にとると、現実にはこの10年間で約15-20億円と著しく大きな変化はなく、また、若手研究者の育成は多くの課題を抱えているのが現状です。
このトークセッションでは、複数の優れた産業、技術を連携させるWatering Hole*としての大学の役割や社会に役に立つ実学(サイヤンス)を具現化するために理工学部創立75年を記念して作った慶應義塾イノベーションファウンダリー(KIF:Keio Innovation Foundry)の紹介を行うとともに、産業界からのパネリストを交えて、「慶應義塾は産業に貢献する研究を行い、さらに新産業創出の担い手となる大学発ベンチャーや次世代を担う人材の創出には貢献できているだろうか?」、「一方、産業界はオープンイノベーションの時代に、積極的に他社や大学のシーズを取り込もうとしているだろうか?」など、産業界と大学双方の観点から議論を行います。
* 様々な専門性を持つ研究者や産業界の人々が集まり、新たな試みや発想をあらゆる角度から討議し、発展させていく場。大学の教育研究が社会の中でイノベーション創出の核となり、定常的にその機能を果たすための土壌。